オンラインカウンセリング・セラピーの適応:どんなとき、どんな人に向いているのか?

オンラインカウンセリングは、誰に対しても(あるいはどんな状況でも)役に立つというわけではありません。では、どのようなときに、どんな人が利用するといいのでしょうか? 逆にオンラインでの相談は避けた方がいいのは、どのような人でしょう?

電話相談と電話カウンセリングの特徴、どんなときに利用できるか?

では、「電話相談」と「電話カウンセリング」を比較していますので、そちらもご参照下さい。

 

どんなときにオンラインカウンセリングが適しているか?

オンラインカウンセリングのメリットとデメリット

とも重なるところがありますが、オンラインカウンセリングが適しているのは、次のようなときだと考えられます。

  • 近隣に適切な(あるいはぴったりくる)相談先が見つからない
  • さまざまな理由により外出しにくい状況にある
  • 時間的なゆとりが乏しい
  • 交通にかかる時間や費用を節約したい
  • 匿名で、あるいはプライバシーが守られた状況で相談したい

こうした状況のときには、オンラインでの相談も選択肢の一つになるでしょう。ただし、対面でのカウンセリング・心理療法を選ぶことも可能な場合は、オンラインカウンセリングのメリット・デメリットをよく検討した方がいいと思います。

 

適用される症状や問題

オンラインカウンセリングはどのような症状や問題に用いられているのでしょうか? アメリカ心理学会(APA)のサイトでは、さまざまな状況へのオンラインカウンセリングの適用について触れられています()。以下、APAのサイトから簡単に紹介します。

うつ病

対面の心理療法とオンラインセラピーと対面の心理療法を比較した研究が紹介されています。どちらも認知行動療法的な介入で、同程度の改善を示したとのことです。

うつ、不安、ストレス

認知行動療法のセルフヘルププログラム(セラピストがテキストメッセージを通じてフィードバックするとのこと)の効果に関する研究が紹介されています。myCompassという名称のプログラムを6週間した後では、ストレスや不安、抑うつなどが有意に軽減されていました。

パニック障害

インターネットを介した認知行動療法プログラムと、通常の集団認知行動療法プログラムが比較された研究が紹介されています。パニック障害をもった精神科患者に対するインターネットを通じた治療は、一般的な治療と同じくらいパニックや広場恐怖の症状を減らすことができ、コストパフォーマンスもよいとのことです。

統合失調症

テキストメッセージによるセラピーによって、服薬アドヒアランス(ちゃんとお薬を服用するということです)を高めるし、社会的な関わりが増えて、幻聴などは改善するとの研究が取り上げられています。

糖尿病のマネジメント

2型糖尿病の患者に、看護師によるテキストメッセージを使った介入の効果研究が紹介されていました。患者さんは毎日、血糖値やダイエット、運動に関する日記を携帯電話を通じて送ります。半年後、身体的な状態が有意に改善しました。

健康のための減量

Eメールによる健康促進プログラムの効果を見るという日本の研究が取り上げられています。高血圧や高脂血症などの慢性疾患の改善にもつながるだろうとの由。

禁煙

テキストメッセージによる禁煙セラピーの効果に関する研究が2つ紹介されています。6ヶ月後の禁煙率を有意に高めたそうです。

HIV/Aids患者の服薬アドヒアランス

ケニヤのHIVの患者に対するテキストメッセージによる介入が紹介されています。携帯電話でメッセージを送ることで、服薬がより遵守されるようになりました。

 

オンラインカウンセリングが向いているのは誰か?

では、オンラインカウンセリングは「誰に」適しているのでしょうか?

  • 引きこもりや社会不安障害など、外出に困難がある人
  • 身体的な障害によって外出しにくい人
  • 育児や介護のために相談機関に出向く時間的ゆとりが乏しい人
  • 対面で話すより、メールや電話の方が緊張せずに伝えられる人
  • 文章で書いて表現することを好む人
  • メールや筆記療法などで自分のペースで言葉にしたい人
  • 発語や聴覚の障害がある人
  • カウンセリングルームや心療内科、精神科に出入りすることに抵抗を感じる人
  • 夜間など、相談機関が開いていない時間に相談したい人

こうした人には、オンラインでの相談が適していることがあるでしょう。オンラインカウンセリング、あるいはインターネットセラピーにはさまざまな形態があります。それぞれ、適している人やそうでない人、好き嫌いはあるでしょう。

メールあるいは筆記によるカウンセリングについては、

メールカウンセリングの可能性と限界

「書く」カウンセリング:筆記療法によってストレスが減り、記憶力も改善する

もお読み下さい。

 

避けた方がいいのは?

では、オンラインカウンセリングが適していないのは、どのような状況、あるいはどんな人でしょう?

  • 希死念慮や衝動性の強い人(あるいはそうした不安定な時期)
  • 暴力などの他害行為が問題となっている人
  • すぐに返事がほしい人(サービスによっては、チャットなどで即座に対応してくれるものもあるようです)
  • 服薬や入院などの医学的なケアが必要な人
  • 急性期の精神病状態の人(幻覚や妄想など)
  • 薬物依存やアルコール依存の問題が大きい人
  • プレイセラピーが必要な子ども
  • 電話やメールによる言葉を使った表現が難しい人

「いのちの電話」のような、24時間対応の相談電話もありますが、その場合は相談する相手(カウンセラー)は選べないのが一般的です。辛い気持ちの荷下ろしだけでなく、継続して相談したいということもあるでしょう。こうしたときにはオンラインカウンセリングも特定のカウンセラーと、予約した時間にセッションをもつことになります。予約時間意外の緊急対応が難しい場合があります。

精神病や身体的な疾患などの医学的なケアが必要な人も、そちらを優先するべきです。

電話やメールなど、コミュニケーションのチャンネルが限られていると、どうしても言語的な表現力に多く頼ることになります。子どもや、言葉による表現が苦手な人は、感情などを伝えにくいこともあると思われます。対面でのカウンセリング・心理療法なら、プレイセラピーや箱庭療法、芸術療法、身体表現を使ったセラピーなど、他のアプローチも可能です。

 

カウンセラー、セラピストに求められること

オンラインカウンセリングのデメリットでも述べましたが、オンラインの場合、表情や態度などの言語以外の情報が限られてくるため心理アセスメント(見立て)が難しくなると考えられます。プライバシーが守られやすいというメリットは、他のカウンセラーや医師などの目に触れないということにもなります。そうなると、カウンセラーにはアセスメントのための知識や経験がなおのこと必要になってくるでしょう。

オンラインで適切な見立てをするためには、対面でのカウンセリング(あるいは心理臨床の実践全般)の経験がかなり必要だと思います。

また、インターネットやコンピューターなどを扱うにあたって、個人情報に十分配慮することや、適切な知識・技術も求められます。

メールカウンセリングやスカイプカウンセリングなどは、カウンセラーの側から見ると、一見、「コストもそれほどかからないし、ちょっとやってみようか」と取り組みやすいようです。だから、少し勉強しただけでオンラインカウンセラーとして開業してしまうような人もけっこういて(参入障壁が低いのですね)、必然的に玉石混合です。利用する方は、だからこそカウンセラーの経験や資格なども確かめておくことが必要でしょう。

オンラインカウンセリングに限ったことではありませんが、従うべき倫理規定などが明確になっているかどうかも重要です。カウンセラーが所属する学会や資格認定協会などが倫理規定を定めていることが多いと思われます。

 

オンラインカウンセリングの効果については、

▷オンラインカウンセリングって本当に効果あるの?という疑問に答える4つの研究を紹介

どのようにカウンセリングが進んでいくかについては、

オンラインカウンセリングの流れー相談申込から終結まで

をご一読ください。