引きこもりから脱したい人のための読書療法ブックリスト

引きこもりとは

引きこもり(Social withdrawal)は、現在、厚生労働省で次のように定義されています。

「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」 時々は買い物などで外出することもあるという場合も「ひきこもり」に含める——厚生労働省

いじめや挫折体験、ストレス、精神疾患などがひきこもりの原因となることもありますし、はっきりした原因がわからないまま引きこもることもあります。中学校、高校の不登校がきっかけということもあります。さまざまな要因によって、就学や就労などの社会参加の機会が失われている状態が引きこもりです。

 

ニートとの関連や、ひきこもりの高齢化といったことで、新聞やテレビなどで取り上げられることも増えてきました。

内閣府が平成22年に行なったひきこもりに関する実態調査によると、広義の引きこもりは70万人弱と推計されています(1)。狭義のひきこもりの推計数が24万人、準ひきこもりが46万人とのことです。

この調査では、「実際にはひきこもっていないけれどひきこもる人の気持ちがわかる」、あるいは「自分もひきこもりたい」といった“ひきこもり親和群”の分析も行なわれています。

それによると、ひきこもり親和群には若い女性が多く、精神的な病気での通院・入院歴は17%と一般群(5%)よりは高いとのことです(ひきこもり群は37%)。

また、ひきこもり親和群の人たちには、「生きるのが苦しいと感じることがある」「人に会うのが怖いと感じる」「絶望的な気分になることがよくある」「壁を蹴ったり叩いたりしてしまう」「人とのつきあい方が不器用なのではないかと悩む」といった心理的特徴が見られたとのことです。

カウンセリングでお会いするのは、母親や父親か、あるいはなんとか相談に行ってみようと決意されたご本人です。カウンセリングや病院、公的な相談窓口、あるいはハローワークなどに出向くことに、大きな不安を抱えたまま抜け出せない方も大勢います。

引きこもりが長期化してくると、不安や葛藤を言葉や態度に表さない人もいますが、内心では「将来どうなるのか」「どうしたらいいのか」という不安や孤独、絶望感を抱えていることも多いのです。

ネット掲示板やメールのように傷つくこともない“引きこもり予備軍”を救った1冊の「交換ノート」(DIAMOND)

という記事でジャーナリストの池上正樹氏は、引きこもり予備軍の女性が書店の交換ノートで社会や人とのつながりをもてたという例を挙げています。引きこもり系の人たちは、読書好きが多いのだそうです。

引きこもり系の人たちは、読書がとても好きだ。内閣府の同調査でも、ふだん自宅にいるときによくしていることを聞いたところ、「本を読む」と回答したのは、「引きこもり群」が68%にも上り、活字離れの叫ばれる「一般群」の38%を大きく引き離した。

もちろん、皆が読書好きというわけではないでしょう。アニメにはまっている人もいれば、ゲームやネットが好きという人も多いと思います。なにを媒体にしてもいいのですが、「程よい距離感」をもって他者と関わることができるということが大切なのでしょうね。

ここまでは前置きです。

「引きこもりから脱したい人のための読書療法ブックリスト」が本題でした。

「ひきこもり」救出マニュアル

「ひきこもり」救出マニュアル
「ひきこもり」救出マニュアル

『社会的ひきこもり』(PHP新書)で、ひきこもりという問題を社会に知らせた斎藤環先生に夜、ひきこもり当事者や家族、支援者を対象にしたQ&A方式の本です。インターネットに対して、直接話をするのが苦手な人でもメール等を通してコミュニケーションが取れるし、社会との接点となりうると肯定的にとらえています。

 

ひきこもり脱出支援マニュアル 家族で取り組める実例と解説

ひきこもり脱出支援マニュアル 家族で取り組める実例と解説
ひきこもり脱出支援マニュアル 家族で取り組める実例と解説

『インターネット・セラピーへの招待―心理療法の新しい世界』というオンラインカウンセリングに関する著作もある精神科医によるひきこもり支援の本です。Q&A方式で具体的に書かれています。

 

ひきこもりのライフプラン—「親亡き後」をどうするか

ひきこもりのライフプラン――「親亡き後」をどうするか (岩波ブックレット)
ひきこもりのライフプラン――「親亡き後」をどうするか (岩波ブックレット)

ひきこもりの状態にある人の平均年齢は30歳を超えていて、多くは親の経済的支援のもとに暮らしています。「親亡き後」のことも見据えたライフプランの作り方をアドバイスしている、とても現実的なブックレットです。

ひきこもりを長年支援してきた精神科医と、ファイナンシャルプランナーの共著。こうしたことを具体的に話合える家族関係にまでなれたら、かなり可能性はあると思います。

 

ひきこもる女性たち

ひきこもる女性たち (ベスト新書)
ひきこもる女性たち (ベスト新書)
社会との接点をもてずに苦しんでいる女性たちをとりあげた本です。

 

西の魔女が死んだ

西の魔女が死んだ (新潮文庫)
西の魔女が死んだ (新潮文庫)
梨木香歩さんの小説です。不登校になった中学生のまいという女の子が、おばあちゃんと暮らしながら「魔女」になるための修行をするというストーリーです。魔女の修行というのは、規則正しい生活をする、自然と触れ合う、お気に入りの場所をつくる、なんでも自分で決めるといったことです。

小説や児童文学、昔話には、「ひきこもる」ことがテーマとなった作品がたくさんあります。グリム童話の「眠り姫(いばら姫)」や、日本昔話の「3年寝太郎」などが思い浮かびます。村上龍『共生虫』、田口ランディ 『コンセント』、カフカ『変身』、ドストエフスキー『地下室の手記』などなど。

 

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他にも「引きこもり」に関する本はたくさんあると思いますが、とりあえず思いついたものを挙げてみました。おすすめの本などがあれば、コメント欄でお知らせください。

 

(1)「若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)報告書」内閣府による調査(2010年)。NHK福祉ネットワークの独自調査では、ひきこもりは150万人、準ひきこもりを含めると300万人になると推計されています。