うつから抜け出す・再発を防ぐための読書療法ブックリスト

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うつ病を克服するための読書療法

うつ病や気分変調症、双極性障害について正しい知識を得て、改善・克服する、あるいは再発を防止するための本のリストです。心理教育や生活習慣の改善に関する本から、認知行動療法、対人関係療法まで。

 

うつ病の症状と治療法

日本では、およそ15人に1人が、生涯に一度はうつ病になると考えられています。現在の日本で、300万人くらいがうつ病を患っていて、そのうち100万人ほどが精神科や心療内科に通院しているのだそうです。また、日本では年間3万人弱の人が自殺で命を落としていますが、このなかにはうつ病を患っている人が多く含まれていると考えられます。

うつ病は一時期、「心の風邪」というたとえで表現されましたが、風邪と比べてより深刻な影響を人生にもたらします。うつ病の再発率は1年以内の再発が30%、5年以内は4〜60%と高いのです。また、1年以上うつ状態が続くなど、慢性化することもあります。

眠れない、食欲がない、ずっと気分が落ち込んでいて何をしても楽しめないといったことが長く続いているとき、うつ病の可能性が考えられます。

精神的・身体的なストレスや、その他の理由から、脳がうまく機能しなくなるのがうつ病だと考えられています。ものの見方や考え方がネガティブになり、自分も否定的に感じてしまいます。

うつ病の治療としては、まず薬物療法や休養が重視されています。また、認知行動療法などの心理療法も、うつ病に効果があることがわかっています。

うつのチェックなどは、

オンラインで実施できる心理テスト・チェックリスト一覧

を参考にしてください。

また、インターネットにもうつ病やストレスに関する情報があります。

e-ラーニングで学ぶ「15分でわかるセルフケア」
厚生労働省の「こころの耳」というサイトです。ストレスとは何か、どう対処すればいいかについて学ぶことができます。

ご存知ですか?うつ病
同じく「こころの耳」から。

 

うつ病について正しい知識を得るための本

うつ病の人の気持ちがわかる本

うつ病の人の気持ちがわかる本 (こころライブラリーイラスト版)
うつ病の人の気持ちがわかる本 (こころライブラリーイラスト版)

うつ病に苦しんだ経験のある人たちの言葉をもとにつくられた、うつ病の人の気持ちや対処法がよくわかる本です。当事者だけでなく、家族や職場の同僚・上司などの周りの人が読むことで、うつ病への理解が深まり、回復をサポートすることができるようになるでしょう。

  • 倦怠感や集中力の減退、自責の念、自殺念慮といったうつ病の症状を理解する。
  • 病院への受診の仕方や薬の正しい飲み方を知る
  • 正しい休養、休み方を知る
  • 家族の接し方や見守り方、距離感などを学ぶ
  • 自殺を防ぐためにできることを知る
  • うつ病のリワーク、復職、就労・就職について学ぶ

といった内容です。

 

ぼくのなかの黒い犬

マシュー・ジョンストン『ぼくのなかの黒い犬』(”I Had a Black Dog”)は、うつ病を「黒い犬」にたとえた絵本です。第二次世界大戦時の英国の首相ウィンストン・チャーチル(1874 – 1965)もうつ病を患っていて、うつを「黒い犬」と呼んでいたことで知られています。

次の動画は、2012年の世界メンタルヘルスデーに世界保健機構(WHO)が公開したものです。

 

ツレがうつになりまして

ツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)
細川貂々『ツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)

映画化もされたマンガです。ご家族がうつ病を患って、といった方がうつについて知るための最初の一冊として、適しているのではないでしょうか。もちろん、状況や症状に個人差はあるでしょうけれども。Amazonのレビューをいくつか読むと、うつ病の当事者にとっては、共感できるところとかえって辛くなるところがあるとのことでした。続編も何冊か出ていますね。

 

ツレと貂々、うつの先生に会いに行く

ツレと貂々、うつの先生に会いに行く (文庫)
細川貂々・大野裕『ツレと貂々、うつの先生に会いに行く (文庫)

うつ病が治った「ツレさん」と 貂々さんが、精神科医の大野裕先生に「どうしてうつになったの?」「うつって、何なの?」と尋ねて、回答してもらうという本です。「うつ病の人に周囲はどう接すればいいの?」「患者が家で休んでる時、家族はどうすればいいの? 」「復職するためには何が必要なの?」「再発した場合、どうすればいいの?」「死にたいって言われたらどうすればいい?」などなど。

 

生活習慣

うつの8割に薬は無意味

うつの8割に薬は無意味 (朝日新書)
井原 裕『うつの8割に薬は無意味 (朝日新書)

タイトルはやや過激ですが、知り合いの精神科医に「8割無意味って本当ですか?」と尋ねると「そうだと思いますよ」との答えが返ってきました。ただし、著者は薬物療法を否定しているわけではありません。「うつは生活習慣病」という視点から、患者さんが取り組むことのできる生活改善・養生法が紹介されています。「まずは睡眠と断酒」を目指すのが大切とのこと。「わかっちゃいるけど、やめられない」人も大勢いるので、それはそれで難しいことですけれども。

 

生活習慣病としてのうつ病

生活習慣病としてのうつ病

井原 裕『生活習慣病としてのうつ病

こちらは専門家向けの本です。うつ病患者の多くは薬だけでは治らない。睡眠不足や不規則な生活、過度の飲酒など、生活習慣の問題を改善することが大事だと書かれていました。まずは睡眠と生活習慣を整えるということは、うつ病に限らずどんな病気の養生にとっても大切でしょう。

 

認知療法・認知行動療法

こころが晴れるノート うつと不安の認知療法自習帳

こころが晴れるノート うつと不安の認知療法自習帳

大野裕『こころが晴れるノート うつと不安の認知療法自習帳

気持ちが沈む、なぜか不安、人間関係に悩むといったときに活用できる書き込み式の自習帳です。認知療法の活動記録やコラム法などを試みることができます。必要なことはちゃんと解説されていて、すぐにつかえるワークシートも備わっています。まずはこの一冊から。

 

はじめての認知療法

はじめての認知療法 (講談社現代新書)
はじめての認知療法 (講談社現代新書)

「こころの元気+」という雑誌の連載がまとめられた本で、認知療法についてわかりやすく書かれています。これもおすすめ。

 

いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法

〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法
デビッド・D. バーンズ『〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法

うつ病に対する「読書療法」(Bibliotherapy)の研究などで、テキストとして用いられてきた本です。臨床試験では、3か月後の効果は対面での認知行動療法と同等だったそうです。また、3年間の追跡調査でも、効果が持続していることが確かめられています。

「怒りのコントロール法」「罪悪感の克服法」「承認中毒への対処」「愛情への依存の問題」「完全主義の克服」などなど。

ちょっと(かなり)ボリュームがありますので、「完全主義」にならないよう、ところどころつまみ読みから始めるのでいいかと思います。今調べてみると824ページだそうです。

 

うつを克服するための行動活性化練習帳―認知行動療法の新しい技法

うつを克服するための行動活性化練習帳 ―認知行動療法の新しい技法
マイケル・E・アディス、クリストファー・R・マーテル 『うつを克服するための行動活性化練習帳 ―認知行動療法の新しい技法

認知療法は、人によっては難しいと感じられることもあります。自分の「思考」や「感情」をモニターするのが苦手な人も多いのです。「行動活性化療法」は考え方としてはわりとシンプルで、楽しみや達成感を感じられる行動を少しずつ増やしていくことでうつを克服しようとするものです。

うつだから行動しない、避ける

のではなく、

少しでもできそうなことから取り組んでみる

というように行動パターンを変えることで、気分が改善していきます。認知行動療法よりも容易に取り組むことができますが、同じくらいの効果があると言われています。

書き込み式のワークブックで、少しずつ取り組むことができる本です。

 

対人関係療法

対人関係療法(Interpersonal Psychotherapy:IPT)とは、人間関係のストレスを解決し、対人関係の力を活用して病気を治す治療法です。薬物療法や認知行動療法と並んで、うつ病に対して効果が科学的に証明されています。

 

対人関係療法でなおすうつ病

 

対人関係療法でなおす うつ病
水島広子『対人関係療法でなおす うつ病

うつ病の正しい理解や対処法、人間関係の持ち方など、対人関係という視点から、具体的にアドバイスしてくれます。うつ病の心理教育や、対人関係療法の入門書としても適しています。

対人関係療法は、

  • 「現在」の対人関係こそが重要
  • 病気を強調する
  • 期間限定

といった特徴をもっています。患者さんは「病者としての役割」を担い(休養するとか、治療に取り組むといったことです)、現在の人間関係がよりストレスが少なく、サポーティブになるように働きかけます。また、12~16回と期間を限定することで、不要な依存を生み出さないように工夫されています。

対人関係療法が取り組むのは、主には次の4つの「問題領域」です。

  1. 悲哀(重要な人の死を充分に悲しめていない)
  2. 役割をめぐる不一致(重要な人との不一致)
  3. 役割の変化(生活上の変化にうまく適応できていない)
  4. 対人関係の欠如(親しい関係がない)

これは、「人がうつ病になる直前にどんなことが起こっているか」という調査から作られたものです。本書を読むことで、自分の「問題領域」がどこにあるのか、どう取り組めばいいのかといった見取り図が手に入ると思います。

 

対人関係療法でなおす気分変調性障害

対人関係療法でなおす 気分変調性障害
水島広子『対人関係療法でなおす 気分変調性障害

上記の本のシリーズです。気分変調性障害は、以前は「神経症性抑うつ」とか「抑うつ神経症」と呼ばれていました。「病気としてのうつ」とは少し異なり、性格的な要因が大きいと考えられていたためです。近年では、気分変調性障害というちゃんとした(というのも変ですが)病気として認められるようになり、治療の対象となりました。

子ども時代、あるいは思春期ごろから気分変調性障害をもっていて、ずっと「自信がない」「いつも憂うつ」「不安ばかり」と体験してきた人もいます。こうした人たちは、恋愛や仕事などに対しても、臆病になり、回避しがちです。

気分変調性障害という病気についてよく知ることで、「自分のせいだ」「やっぱり私はダメだ」と落ち込むのではなく、「これは病気のせいだからこう対処しよう」と前向きに捉えることができるようになります。

 

対人関係療法でなおす双極性障害 躁うつ病への対人関係・社会リズム療法

対人関係療法でなおす 双極性障害 躁うつ病への対人関係・社会リズム療法
水島広子『対人関係療法でなおす 双極性障害 躁うつ病への対人関係・社会リズム療法

こちらも対人関係療法のシリーズ。双極性障害の対人関係・社会リズム療法(Interpersonal and Social Rhythm Therapy: IPSRT)が紹介されています。

双極性障害が再発する大きな原因は、「薬を飲まない」「ストレスフルな出来事(人間関係の問題や社会的役割の変化)」「社会(生活)リズムの乱れ」です。

「対人関係」と「社会リズム」という、双極性障害の発症や悪化の大きな要因に焦点を当てることで、自分でコントロールできるようになるよう試みます。対人関係療法と社会リズム療法という、ふたつの治療法が組み合わされています。対人関係療法については、上に概要を書きました。

社会リズム療法とは、生活や社会的活動とその刺激度などを記録していくことで安定化を図ろうという治療法です。

  • 起床した時刻
  • 人と初めて接触した時刻
  • 仕事・学校・ボランティアなどを始めた時刻
  • 夕食を取った時刻
  • 就寝した時刻

といった項目を記録します。

 

【参考リンク】

うつ病の自己チェックシート[pdf]

『うつ病』を正しく理解するために 誰もがなりうる「うつ」 正しい治療で早期回復[pdf]共和薬品

うつ病ハンドブック(PDF形式:659KB)神戸市

うつ病の認知療法・認知行動療法 (患者さんのための資料)[pdf] – 厚生労働省

「日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅱ.うつ病(DSM-5)/ 大うつ病性障害」(PDF)

 

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